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太陽光の色温度は何色?太陽の色が見えるメカニズムと色温度の変化

正午前後の太陽光のイメージ画像

太陽光の色温度は、時間帯や季節、天候によって変化して見えますが、正午前後の太陽光は5000〜6500Kの白色光とされています。この白色に近い光は、人間が自然な色を判断するための基準として、印刷や製造、検査、美容など、正確な色識別が求められる場面で重要な役割を果たしています。

しかし、地表に届く太陽光は常に一定の色温度ではありません。時間帯や季節、天候、緯度などによって、色の感じ方は変わってしまうのです。

太陽光の測定方法には、2つのパターンがあります。
① 直射太陽光のみを測定する方法
② 空からの散乱光+直射太陽光の測定する方法
本記事では②の「空からの散乱光+直射太陽光」を含めた測定を前提としています。
太陽光の色温度の基本から、太陽の色がどのような仕組みで見えているのか、さらに環境によって色温度が変化して見える理由まで、分かりやすく解説します。

太陽光の色は何色?

可視光が混ざり合うイメージ画像

太陽光の色は、基本的に「白色」として認識されます。その理由は、太陽光には人間の目で見える「可視光」と呼ばれる光の色が、すべて連続的に含まれているからです。

可視光には、赤・橙・黄・緑・青・紫といった色があります。太陽光はこれらの色を途切れることなく連続して含んでいます(連続スペクトル)。これらの光がバランスよく混ざり合った結果、私たちの目には「白い光」として認識されているのです。

光の「色温度」とは

色温度と光の色の関係

光源の色味を客観的に示す指標に「色温度」があります。
色温度は黒体放射の考え方が用いられます。
「黒体」とは、反射しない性質をもつ理想的な物体です。外部からの光を完全に吸収するため、このような名称が付けられていますが、黒体はあくまで理想的な物体であり現実には存在しません。
※実在する物体の中では、鉄や木炭、石炭などが黒体に近い性質をもっている一例として挙げられます。
黒体は温度をもつと自身の熱エネルギーによって光を放ちます。この現象を黒体放射と呼びます。黒体放射の特徴は、低いと赤っぽい光を放ち、温度の上昇に伴って白色、さらに青白い光へと変化していきます。
この色の変化を温度の単位である「K(ケルビン)」で表したものが色温度です。
色温度は、実際の光源の色が「何ケルビンの黒体が放つ光の色に最も近いか」を数値で示したもので、数値が低いほど暖色系、数値が高いほど寒色系の見え方になります。

色温度の指標は、実際に市販の蛍光灯やLEDなどの照明の色合いを表現するために使われています。JIS規格により温かみのある色合いの「電球色」は2600~3250K、昼間の太陽光に近い「昼白色」は4600~5500Kといった基準が定められています。

色温度についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

色温度とは?K(ケルビン)の意味も解説!

太陽光の分光分布図

「分光分布図」と呼ばれるグラフを見れば、どの波長の光が多く含まれているか、あるいは少ないかといった情報が視覚的に把握できます。

自然太陽光の分光分布図

分光分布図とは、光に含まれる波長ごとの量(エネルギー分布)を示したグラフで、どの色の光が多いのか、あるいは少ないのかを視覚的に把握できます。横軸は波長を表しており、左側ほど波長が短く紫や青に近い寒色系の光、右側ほど波長が長く赤に近い暖色系の光を示します。対して縦軸は光のエネルギーの強さを表しています。グラフが高いほどその色の成分が強く含まれていることを意味し、この縦横のバランスによって、私たちの目に映る光の色合いや、照らされた物の色の見え方(演色性)が決まります。

太陽光の分光分布図を見ると、短い波長の光から長い波長の光まで、可視光域の全範囲を連続して含んでいる(連続スペクトル)ことが分かります。
可視光域のすべての色(赤・橙・黄・緑・青・紫)がほぼ均等に含まれているため、「可視光すべてを混ぜた光=真っ白な光=白色光」として私たち人間の目には認識されます。

一方、こちらは白熱灯の分光分布図です。短い波長の光は少なく、長い波長の光が多く含まれています。つまり白熱灯は、長波長側のエネルギーが強く、赤みや黄みの強い、温かみのある光を発する光源であることが分かります。

自然太陽光の分光分布図

分光分布については、こちらの記事もご参照ください。

色が違って見える原因とは?分光分布による色の違いをわかりやすく解説!

なぜ同じ太陽光でも、時間帯や天候で色が変わるの?

夕方の太陽光のイメージ画像

太陽が発している光そのものは、基本的に常に同じ色です。しかし、私たちが地表で感じる太陽光の色温度は、時間帯などの条件によって変化しています。

例えば、晴れた昼間の太陽光の色温度は高く、クリアな青白い光に感じられます。また、雲の多い日の夕日が、ピンク色やオレンジ色など低色温度のぼんやりとした光に見えた経験がある人も多いでしょう。

これは、太陽光が私たちの目に届くまでに通過する大気の距離(路程)や状態と関係があります。

散乱現象の影響

光の散乱現象とは、光が空気中の小さな粒子により、さまざまな方向に散らばる現象です。

散乱現象には、レイリー散乱ミー散乱の2種類があります。

レイリー散乱には、次のような性質があります。

• 空気分子のような小さな粒子により起こる光の散乱現象
• 波長が短い光(青色光)は散乱されやすい
• 波長が長い光(赤色光)は散乱されにくい

このため、レイリー散乱が多く起きる環境では、青色光が大気中で失われやすくなり、太陽光は赤みのある低色温度になります。逆に、レイリー散乱が少ない環境では青色光が地表に届きやすいため、太陽光は白色〜青白い色味の高色温度に感じられます。
すなわち、レイリー散乱の影響で「空が青い」という環境が生まれます。

一方、ミー散乱には次のような性質があります。

• 水滴・チリ・ほこりなど、空気分子より大きい粒子によって起こる光の散乱現象
• 波長の短い光も長い光もほぼ区別なく散乱される

そのため、ミー散乱の起きやすい環境では、全ての波長の光がまんべんなく拡散されるため、太陽光は白っぽくぼんやりとした光に見えます。

大気の影響

大気は、空気だけで構成されているわけではありません。実際には、

• 空気分子(窒素・酸素など)
• 水蒸気
• 霧や雲を構成する水滴

といった成分が含まれています。これらの大気の成分が多いほど、太陽光は散乱や吸収を受けやすくなります。

特に、湿度が高い状態や霧のように水滴が浮遊している状態では、波長の短い青色光がより散乱されやすくなります。その結果、私たちの目に届く光は青みが削られ、相対的に赤みが増した「低色温度」の光として認識されやすくなるのです。

太陽光の色温度が季節・天候で変化する理由

四季のイメージ画像

私たちが感じ取る太陽光の色温度は、季節や天候によっても変化します。

色温度が変わって見える理由について、路程と太陽光が通過する大気の状態の変化から説明していきます。

季節で変わる太陽光の色温度

太陽光の色温度は夏は高く、冬は低いという特徴があります。これは、季節によって太陽の高度が変わることが大きく関係しています。

夏は太陽の高度が高いです。
このとき、太陽の光は地面にほぼまっすぐに近い角度で届きます。そのため、光が通過する路程が短く、散乱の影響をあまり受けないため光の色は大きく変化しません。その結果、太陽光は青白く色温度が高く感じられます。
一方、冬は太陽の高度が低いです。
太陽の光は斜めに地面へ届くため、大気の層の長い路程を進むことになり散乱の影響を大きく受けることになります。その結果、太陽光は赤っぽく色温度が低く見えます。

ここで重要なのは、太陽の高さが変わると自然に光の進む道のりも変わります。
つまり、太陽の高度の変化が大気の影響の受け方を変え、それが太陽光の色の違いとして現れます。

季節ごとの太陽の動き

太陽は季節によって通る高さが異なり、その違いが太陽光の色温度にも影響します。
季節ごとの差を分かりやすく比較するため、正午ごろの太陽光に限定して説明します。

春分頃の太陽は高度・光路長ともに中程度で、冬ほど散乱が多くなく、夏ほど少なくもありません。そのため、太陽光は白色光に見えやすく、色温度は中間的(5300K前後)になります。

夏至頃は太陽高度が高く、路程が短いため、太陽光が大気中で散乱を受けることが少なくなります。その結果、青色光が失われにくく、地表に届く光は青白い高色温度(5500K前後)に見えます。

秋分頃は太陽高度が中程度から徐々に低下しますが、空気が乾燥しやすく、水蒸気量が少ない日が多くなります。そのため、同じ太陽高度でも散乱が比較的少なく、澄んだ白色〜やや高色温度の光(5300K前後)に感じられます。

冬至頃は太陽高度が低く、路程が長くなります。光が長い距離を大気中で進むことで、青色光がレイリー散乱によって多く散らばり、地表に届く光は黄色~オレンジの色味のある低色温度(5100K前後)に見えます。

季節ごとの色温度をまとめると以下の表になります。(正午ごろ)

季節色温度太陽の高度光の印象
5300K前後白色光
5500K前後青白く強い光
5300K前後澄んだ白色の光
5100K前後黄色~オレンジの色味の光

天候で変わる太陽光の色温度

晴天の太陽光のイメージ画像

太陽光の色温度は、天候によっても大きく変化して見えます。その主な原因は、空気中に含まれる水蒸気や水滴の量が変わることで、光の散乱や吸収のされ方が変化するためです。ここでは、晴天時と曇天・雨天時の違いを、散乱現象の仕組みから説明します。

晴天時は、空気が乾燥しており、水蒸気や水滴が少ない状態です。この環境では、主に空気分子によるレイリー散乱が起こります。波長の短い光ほど散乱されますが、青色光は比較的多く地表に届くため、太陽光は青みのある高色温度に感じられます。

一方、曇天・雨天・霧では、水滴や多量の水蒸気が空気中に存在します。この状態では、レイリー散乱に加えてミー散乱が発生します。ミー散乱では、太陽光に含まれるすべての波長が比較的均等に拡散されるため、灰色がかった白色に見えやすくなります。
※曇天時の光は条件によって色温度が高め(青寄り)になることもあります。

太陽光の色温度が緯度によって変化する理由

緯度のイメージ画像

太陽光の色温度は、観測する場所の緯度によっても変化して見えます。一般に、低緯度地域では高色温度に、高緯度地域では低色温度に見える傾向があります。これは、緯度の違いによって、太陽光が地表に入射する角度や、路程が変わることが関係しています。

なお、実際の屋外環境では、天気や湿度、黄砂、PM2.5、水蒸気量などの大気の成分によっても、色温度は微妙に変化します。ただし、今回は比較条件を明確にするため、これらの要因は考慮せず、緯度の違いのみで説明していきます。

赤道付近の低緯度地域の太陽光:シンガポール、ブラジルなど

シンガポールのイメージ画像

赤道付近の低緯度地域では、
正午ごろにおける太陽光は一年を通して高色温度になります。

低緯度地域には、次のような特徴があります。
• 太陽の南中高度(正午の太陽の高さ)が高い
• 太陽光がほぼ真上に近い角度で入射する

このため、路程は短くなり光の散乱が比較的少なく、短波長の光が地表に届きやすい状態になります。その結果、赤道付近の太陽光は、青白い色味を帯びた高色温度になります。

高緯度地域の太陽光:フィンランド、アラスカなど

高緯度地域のイメージ画像

一方で、高緯度地域では、
正午ごろにおける太陽光は一年を通して低色温度になります。
※高緯度地域では、地球の自転軸の傾きによって太陽が沈まない日や昇らない日が存在します。(白夜や極夜)
これらの現象は考慮せず緯度における色温度の違いにのみ着目しています。

高緯度地域では、次のような特徴があります。
• 太陽の南中高度(正午の太陽の高さ)が低い
• 太陽は一日を通して低い位置を移動する

太陽光は斜めから地表に届くため、路程が長くなります。その結果、青色光の散乱が進み、地表に届く太陽光は相対的に赤みや黄みを帯びた低色温度になります。

太陽光の色は宇宙ではどう見える?

宇宙における太陽光のイメージ画像

前述した通り太陽光は、可視光のすべての色(赤・橙・黄・緑・青・紫)がほぼ連続的に含まれているため、「可視光すべてを混ぜた光=真っ白な光=白色光」として我々は感じることが出来ます。
人工衛星、探査機から撮影された写真や映像では、太陽はまぶしいほどの白に近い光源として映し出されます。これは、太陽光が本来持つスペクトルが、ほぼそのまま観測されている状態だと言えます。

地球上からと宇宙からの太陽光の見え方の違い

地球上に届く太陽光は、大気を通過するため、空気分子や水蒸気、微粒子による散乱や吸収を受けます。その結果、時間帯や天候によって、色温度が高く見えたり低く見えたりする変化が生じます。

一方、宇宙空間には大気が存在しません。散乱や吸収を引き起こす空気分子や水蒸気、水滴がないため、太陽光は全く減衰や散乱を受けずに観測されます。その結果、宇宙から見た太陽光は、特定の色に偏らず、常に安定した白色光として見えるのです。

太陽光の色温度についてのまとめ

太陽光は本来、可視光全てを連続的に含む白色光であり、人間が「自然な色」を判断するための基準になってきました。太陽光は単なる光源ではなく、世界共通の色彩感覚の基準=理想的な光源に位置づけられています。

しかし実際には、太陽光の見え方は一定ではありません。季節や時間帯、天候、さらには緯度による太陽高度の違いによって、路程や散乱の量が変わり、色温度は大きく変化してしまいます。

このような変化は、太陽光を利用した実験、品質管理の現場では致命的な問題になりえます。

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