教えて!「太陽先生!!」

ゴールデンウィーク中の紫外線量は真夏と同じ!?

まもなくゴールデンウィークに突入します。真夏ほど暑くもなく、かといって寒くもなく、アウトドアのレジャーを楽しむのに最適な時期ですね。平日の有給休暇などをうまく活用すれば、11連休なんていう人もいるかもしれません(羨ましい!)。

この時期、UVカットの化粧品やグッズ、食品などのコマーシャルが増えてきているのにお気付きでしょうか?筆者が若いころはコマーシャルと言えばテレビか新聞の折り込み広告がほとんどでしたが、今はネットニュースやSNSにも多くの広告が表示され、紫外線対策の商品のコマーシャルを目にする機会も増えてきたのだと思います。

さて、今回の話題は「ゴールデンウィーク中の紫外線量」についてです。実はこの話題、当社の初めてのメルマガに掲載したテーマでもありました。この時の内容を要約すると、
・太陽光に含まれる紫外線量は、地表に入射する角度に大きく関係する。
・GW中の太陽の、正午ごろの地表への入射角(南中角)は約69°、これは8月上旬の太陽光と同じ。
・だから真夏と同じ量の紫外線に肌をさらすことになる。
といった内容です。

今回は、より詳細なデータを示したいと思います。

気象庁のホームページで、日本の複数の観測地におけるUVインデックスのデータを調べることができます(紫外線量の数値データを探しましたが、見つけることはできませんでした)。UVインデックスとは、紫外線の強さを人体への影響について分かりやすく示すよう考え出された指標です。計算方法も規定されていますが、かなり難しいので割愛します。

2024年(昨年)の夏至は6月21日、その7週間前の5月3日と7週間後の8月9日の茨城県つくば市におけるUVインデックス観測データを示します。

2024年5月3日のUVインデックスデータ

2024年5月3日のUVインデックスデータ

2024年8月9日のUVインデックスデータ

2024年8月9日のUVインデックスデータ
https://www.data.jma.go.jp/env/uvhp/link_uvindex_obs.html

2024年のGWはおおむね晴天で、8月上旬はあまり天候が良くなかったため、比較的日照時間の長い8月9日を選択しました。8月9日は夏至から7週間後だったので、夏至の7週間前の5月3日を選択し、両日のUVインデックスを比較することにしました。

・5月3日は終日晴天で、最高気温は23.8℃
・8月9日はほぼ晴れですがやや雲が多いような天候で最高気温は32.8℃です。

5月3日は12時台のUVインデックスが最高で値は7.1、
8月9日は11時台のUVインデックスが最高で値は8.6です。

太陽高度は両日とも同じなのでUVインデックスも同じになるはずですが、8月9日の方が高い値で観測されています。その理由は8月9日の方が、空気が澄んでいることとオゾン量が少ないこと、の2つの要因が挙げられます。調べてみると8月の方が天候の悪い日が多く、空気中のチリや埃が少なくなっているので、大気を通過する紫外線量が5月よりも多いのではないか、と思われます。5月は晴天の日が多く、その分空気中のチリや埃が多いので、UVインデックス値が低くなる傾向にあるようです。

5月3日も8月9日も、大気の条件が同じであればUVインデックスも理論上は同じになります。しかし初夏と夏真っ盛りでは大気の条件が違うので、日焼けのリスクにも差が出てくることになります。とはいえ5月3日のUVインデックスも充分に高いので、日焼けが心配な方は対策が必要ですね。

一方で日焼けのリスクを過剰に心配するあまり、人が日に当たる時間が短くなっているのを問題視する研究機関も多くあります。日に当たることで体内にビタミンDが生成され、カルシウムの吸収が促進されたり免疫力が高まったり、痛みが和らいだりする効果があります。日焼けのリスクとは反対に、日に当たらないリスクがあることも知っておいて頂ければと思います。

参考文献
気象庁ホームページ(過去の気象データ)
https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/hourly_s1.php?prec_no=40&block_no=47646&year=2024&month=08&day=09&view=p1

地球環境研究センター 有害紫外線モニタリングネットワーク活動報告
https://www.cger.nies.go.jp/publications/report/m017/M017.pdf

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